元 「そなたの名前はなんと申す?」
いつの間にか、瞑想を終わらせていた元が時乃の後ろに立ち話しかけた。
時 「申し遅れました。わたくし、高木時乃と申します。」
元 「……時乃か。良い名前だ。」
時 「…ありがとうございます。」
微笑み合う二人の間には独特のゆったりとした雰囲気が漂っていた。
平 「あとは、楓ちゃんだね。」
平太は隅の方で隠れるように立っていた楓に笑いかけた。
楓 「…あの…岡江 楓 です。」
楓の小さな声は平太にしか届かなかった…。なぜなら他の四人はそれどころではなかったからだ。
結 「あのっ離して下さい…お願いします。」
総 「やだ。なに?僕に刃向かう気?」
また総治に抱きつかれた結子はこの毒舌S男から逃れようと必死だ。
時 「斎藤部長様も幕末の会津がお好きなのですか?」
元 「ああ…。…ところで、時乃殿、私のことは元と呼んではくれないか?」
時 「元…さん。では、わたくしのことも時乃とお呼び下さい。」
元 「時乃…承知した。」
同じ会津好きの元と時乃はすでに打ち解け、名前で呼び合っている。
平 「…はぁ…。皆、勝手に自分達の世界に入らないでよ…。
あっ楓ちゃん、うちに新選組の珍しい文献があるんだけど、読んでみない?俺今度持って来るからさ!貸すよ!」
楓 「藤堂先輩…いいんですか?大事な物なんじゃ…。」
平 「いいの!楓ちゃんになら。
それと、俺のことは平太でいいからね!
はいっ呼んでみて!」
楓「えっ!?あの……
平…太…先輩。」
なんだかんだ言って、平太と楓までもが甘い空気を纏わせていた。