結 《ーーーうわぁ、沖田先輩って人なんか怖っ…。顔見えないし、仲良くなれなさそう…。》
三人は入口付近に立ち尽くしたまま、苦笑いを浮かべていた。
藤 「総治、元くん、この子達は…えっと、」
結 「あっ自己紹介まだでしたね。櫻木 結子です。」
結子が名前を言った瞬間、それまでずっと本から目を離さなかった総治がパッと顔を上げた。
少し色黒の肌に茶色い短髪、鋭い目を持つ美青年だ。
総 「……………。」
顔を上げた総治は無言で結子を見つめている。
いきなりイケメンに見つめられた結子は恥ずかしさに目をそらせてしまった。
が、その瞬間、結子の目の前が真っ暗になる。
結 「……えっ!?」
平・時・楓 「……えっ!?」
真っ暗の正体は総治だった。
急に立ち上がった総治が結子を抱きしめたのだ。
総 「………やっと会えました。」
時乃、楓、平太はボー然とその様子を見守っていた。
結子は総治の腕の中で固まっている。
平 「…えっと、総治?まさか…。」
総 「ええ。私もやっと見つけましたよ。」
総治は嬉しそうに呟き、結子を抱きしめる腕に力を入れる。
結 「痛いっ痛い!あのっ急になんなんですか!?離して下さい。」
総 「僕にそんなこと言っていいんですか?一生離しませんよ。」
叫ぶ結子に総治は黒く笑いながら力を強めた。締め上げられた結子は必死で離れようとバタバタともがく。
平 「ちょっ総治、落ち着け。結子ちゃんパニックになってるぞ!」
総 「……ちっ。」
舌打ちをしながら、ようやく総治は結子を解放した。