頭をガンっと殴られたようだった。
いきなり出された しん という名前だけが頭に残る。
必死に平常心を装い、言葉を紡ぐ。
「・・うーんと、知らない、かな」
紫子は気付かずに、話を続ける。
「なんか意外と女子に人気あるらしいよ。すごい優しいし、綺麗な顔してるし。」

「へえ、そうなんだ。」
なんだかどんどん離れていってしまうようだった。
「しかもね!しんも千鶴のこと好きかもしれないんだって! それでね、クラスのみんなで応援しているらしくて!」