気付けばあの人を探している。
学校では眼鏡なんだと気付いたり、クラスを覗くといつも読者していることが分かったり。
どんどん知っていくのが面白かった。
廊下であの人が友達に しん と呼ばれていた。
私もいつか呼び合えるような仲になりたいな、なんて思った。

あるとき、友達の紫子と恋の話になった。私の好きな人について、紫子の後に話すつもりだった。

今思えば、この時私が先に話していれば何か変わっただろうか。ーきっとそれはないだろう。きっと戻れても私は同じことをする。

「そういえば、聞いて!」
紫子がワクワクした顔で言う。