YUKI˚*








川村くんは下を向いて




もうそれ以上は



何も話す気がないんだ





「…あたし、行くね」



あたしは川村くんに背を向けて



走り出した




でも、その足は簡単に



川村くんに手を掴まれることによって止められた





「…川村く…離して」



「離さない」



「…行かなくちゃ」



「行っちゃ駄目だ」



「…どうして?」




あたしが傷つくから?



須嶋くんが苦しめられるから?



どっちにしても



川村くんが心配してくれてることはわかるよ



でも



それでもーーー








「好きなんだ」




手を掴まれた方から聞こえたその声に




じわじわと手から伝わるその熱に




手が、さっきより少し強く握られた気がして




あたしはーーー



どうすればいいの?







「みんなにもバレてるよ。佐々木も…ケンも」




なんで




なんで?







「はは、そんな顔しないでくれよ。…困らせたかったわけじゃないんだ」




あ、今あたしどんな顔してたんだろう



「…ごめん。でも、なんであたしなんか……」




だって全然


そんなこと思ったこともなかったし



わからなかったよ



川村くんがあたしを




……好きだなんて





すると川村くんは、少し困ったような顔をした





「…白川は覚えてないだろうけど、前に俺、白川に助けてもらったんだ」




え…うそ




「この高校の受験の日に、俺、川に受験票落としちゃって…そのときにーーー