「そんなこと言ったの?」



「うん」



川村くんと二人


教室で話をしていた



話題は昨日のあたしと須嶋くんのした約束のこと



まなみんはトイレに行ってるからすぐ戻ってくると思うけど


そういえば、川村くんと二人だけで話すのはすごく久しぶりかも



最近はキスのことでまなみんにばっかり相談して、川村くんを邪魔者扱いしてたからなぁー



だってさすがに川村くんにそんな相談できないし





「で、ケンはなんて?」



「ゆきちゃんが言うならって…言ってくれた」


「…ふーん」



何かを考えるような川村くん




「あー何かお腹空いたねー」


そう言って、まなみんがトイレから帰ってきたら



この話はここでおしまいになった


ただ少し


川村くんの反応が気になったけど









帰りの時間になって


須嶋くんを待っていた



「ごめん白川、今日ケンとちょっと話あるから先帰っててくんねぇ?」



と、川村くんがゴメンの手をしながら言いに来た



「あ、いいよ!わかったー」




そう言って別れながらも



話しって……何だろう


あたしには言えないこと?




なんて一人で考えながら帰る


あたしの考えすぎかなぁ



そのとき



「ゆきちゃーん!」



可愛らしい女の子の声がして、顔を上げる



そこには『ユリ』ちゃんがいた


あの悠斗くんの彼女のユリちゃん



あのあともあたし達は連絡を取り合って


今ではちゃん付けで呼び合う仲になっていた




「わー久しぶり!どうしたのこんなところで」



「うーん、ちょっと話したいなぁーって思って」



話……


こっちもか…



「なーに?」


並んで歩き出しながらそう聞くと





「別れた」




ユリちゃんから確かに、そう聞こえた



「え、どーゆーこと?!」


「悠斗とはね、ダメになっちゃったんだー」



あまりにも普通の声で話すユリちゃんに


あたしは何も言うことはできなかった




だってあんなに


あんなに二人は仲良くて


幸せそうで




今日だってクラスで悠斗くん


普通に友達とふざけ合いながら



笑ってたのに…




「やっぱり、一度こんがらがると元通りにはいかなかったんだ」



普通に話してるって思った


けど、気づいた




ユリちゃんの目がとても優しくて


切なくて


きっと、悲しいことに変わりない




「大丈夫だよ…ユリちゃんなら、またいい人が…」



「うん、ありがとう」



なんでこんなとき



あたしはこんなことしか言えないんだろう


本当に自分が嫌になる




「でもね、今日はホントは違うことを話したくて来たの」



「え?」



他に大事な話があるの?


何だろう




「ゆきちゃんと…健人くんのことだよ」



そう言われて



ドキッと胸がなった




「…何?」


すると、ユリちゃんは遠くを見るような目で話出した



「あたしが始めて会ったときの健人くんはさ、優しかったけど…やっぱりどこか冷たかったの」




その言葉に


須嶋くんのあの



冷たい瞳を思い出す



「でも、また会ったとき本当に『優しい』って思ったの」