「見せつけてくれんじゃん」



今日初めて優と喋った気がする



「ラブラブだからね」



そんなことを言ってはみたけれど



俺は少し焦っていた




「佐々木さん、結構かわいいね」


優は少し離れたところにいる佐々木を見つめながら言う



その隣には白川がいる




「白川は俺の彼女だ」



「は?…はは、のろけかよ」




なんでこんなことを言ったのか



自分でもわからない




ただ、もし


白川のことを好きな男が現れたとしたら



白川を好きな奴がいたら……



俺は







『俺は』
















それから観覧車、ジェットコースター、お化け屋敷…



たくさん乗ってたくさん楽しんだ




「川村って以外と怖がりなんだから!」



「こ、怖がってねーよ!ちょっと叫んだだけだろ」



まなみんと川村くんもすっかり意気投合しちゃって




「優は昔からだからなー」



須嶋くんもそう言って笑ってるけど


あなたも人のこと言えないよ?



須嶋くんはお化け屋敷でずっとあたしに引っ付いて



何も話さないなぁーと思って横を見ると



目を瞑っていた


オイオイ



「今日は楽しかった!ありがとーゆき」



「あたしも!」



まなみんも満足したみたいで良かった





その後はあたしと須嶋くん、まなみんと川村くんに分かれて帰った







「ほんと、楽しかったねー」



「…うん」




まなみん達と別れて二人で帰っているところ



なんか、須嶋くんが静か



「疲れちゃった?」



「…………」




え、返事がない



なんか須嶋くんがおかしい




「ねぇ、須嶋く



「俺は」



と思えば突然言葉を遮られる



「え?」





『俺は』…?






「俺は負けない」





あたしの顔は見ずに



前だけを見て、でも真っ直ぐな瞳で



はっきりと言う




「ふふ、変な須嶋くん」



「変ってなんだよー」



それからは、須嶋くんもいつもの須嶋くんに戻って


楽しかったねって話をしながら



家まで送ってもらった







あのときの


言葉の意味を



今はわからないあたし




須嶋くんの気持ちも



川村くんの気持ちも


まなみんの気持ちも



自分の気持ちでさえもわかっていない



まだ、幼いあたし