お父さんの名前は、江夏旬(えなつ しゅん)。

 歳は38才。高二の娘を持つ父親にしては若い方なんだけど、童顔の持ち主で歳よりも更に若く見られてしまいがち。調子のいい時は、私のお兄ちゃんと思われる時もある。


 そんなお父さんの職業は、社会科の教師。


 教師としての信頼も厚く、女子生徒達からはモテまくり。毎年バレンタインは、チョコレートを段ボールいーっぱいにして持って帰ってくる。

 娘である私は、それに対してちょっとヤキモチを妬いたりしちゃうけど、考えたら無理もないんだよね。

 だって超イケメンだし、背もスラッと高くて、無造作ヘアもスーツもいつも似合ってるだもん。それにチョコだって、お父さんに便乗して私も美味しく頂いてるわけだし(……って、これはカンケーないか)。

 まっ、いっかぁ。群がるのは私と同じ年頃の女子ばかり。お父さんからしたら娘同然でしょ。

 だから、どうにかなったりする心配ゼロだもんねー。余裕、余裕。

と、自分に言い聞かせた。