「残念だけど……お父さんと結婚なんて出来ないからっ」

「あらぁ。どうしてかしらぁ?」

「私が一生認めないから」

「まぁ、それは困りましたわぁ。
 ワタクシには、もう旬しかいないのですのよ?」


 真矢は、眉を中心に寄せて困った顔を見せつけてきた。


「何言ってんのよ。お父さん以外の男なんていっぱいいるでしょ。わざわざ38の子持ちと結婚しようとしなくてもいいじゃない。だから、他あたって」

「他の人となんて無理ですわよぉ。ワタクシは、旬が好きなのですからぁ」

「じゃあ、やめてよ! その『好き』っていうのを取り消して!」

「……ふふっ、咲華ったら。そんな風に言われたからって、簡単に取り消せるわけないですわよ。
 恋というものは、理屈ではなくて、心で感じるものなの。おわかり?」

「はぁ? 何それ。ワケわかんないしっ!」

「……あらぁ? もしかして咲華ったら……好きな人がいらっしゃらないのかしらぁ?」


 ぐっ……図星だった。

 自慢じゃないけど、初恋もまだという……友達曰(いわ)く『天然記念物』。


「だっ……だからなんだってのよっ!」


 ムカつく! バカにしやがって!