「お、お父さん……正気?」

「……あぁ」


 うっ……。


「だって……お父さんの生徒でしょ? しかも高二って、私と同い年だよ? 17だよ?
 そしたら歳の差……21でしょ?」

「……あぁ」


 うぅっ……。


「本気で……すっ……好きなの?」

「ははっ。照れるけど……そうだな」


 ガァーーーーン……。

 最後の質問の答えにだけ、ハートマークが見えた。


「……っ、だっ……誰かぁっ! 誰か私を殴るなり殺すなりして、夢から覚まさせてぇっ!
 そこの店員さんでも、隣の席のお客さんでも、誰でもいいっ!
 誰かっ……助けてくださいっ!!」


 必死に訴えるも、店員さん達とお客さん達は「何だ、何だ?」と、私を奇異(きい)の目で見てくるだけで、助けてくれようとはしなかった。


「咲華っ! 気をしっかり持てっ! おいってば!」

「……はっ!」


 カツが揺さぶってくれたおかげで、少し意識を取り戻した。

 やっぱ、カツがいてくれて良かったぁ。


「わあぁーん! どうしよぉカツぅー!
 このままだと、このお嬢様が……私のニューマザーになっちゃうよぉ! うわぁーん!」


 カツにガッツリ泣きついた。


「わかった! わかったから、とにかく深呼吸して気持ちを落ちつかせろっ!」

「うぅ……」


 私はカツと一緒に「スゥー……ハァー……スゥー……ハァー……」と、ゆっくり深呼吸をした。