「ねぇ、お父さん。そういえば彼女はぁ?」
「……え?」
「いくらなんでも遅すぎない? ホントに来るのぉ?」
「あ……咲華。それはな……」
お父さんが言いかけたところで、私の肩をトントンと叩いてきたのは――
ニッコリと微笑んだままの美少女だった。
「あ……ごめんなさい。ちょっと取り込み中なんです。
挨拶が済んだなら、そろそろ席をはずしてもらってもいいですか?」
そんな美少女に、私は丁重にお引き取りをお願いした――が、
「それなら、もう来てるわよ」
と、謎の一言を発する。
「は? ……あの、何が?」
「先生のぉ……か・の・じょ!」
「……へ?」
何で?
何でこのコが、お父さんの彼女のことを知ってるの?
戸惑っていると、美少女がニッコリとして指を差した。
――自分の顔に。

