徹の最後の一言と同時にブラックアウトする映像。



徹の証言はこれで終わりだった。


平野は映像を見て疲れた目を癒すため
窓の景色を眺める。



新緑の緑もまぶしい初夏の
美しい景色が窓の外に広がっている。



平野は少し相好を崩し
再びピースに手を伸ばす。


「そう言えば…」


煙を深く吸い込んだ平野が
ぽつりと独り言をつぶやく。



「そう言えば、この事件を知ったのも
こんな日でしたねえ…


若葉が勢いづくこの季節。


こんな日だった」



そう言って平野は目をつぶり
しばらく動かなくなった。



そう…



その日私はいつも通り



中村巡査に小言を言われながら
居眠りをしていた…






穏やかな普通の一日だった。



あの事件を知るまでは…