「柊哉、結婚ってのはな、それなりの覚悟がいるねんぞ?
相手の人生も背負って行くんやからな。
おまえにそれだけの覚悟があるんか?
どんなことがあっても守って行けるんか?」


「いける・・・ あいつを守っていく・・・」


「今はええ、相手を想って気持ちも
盛り上がってる時やからな。
でも気持ちが冷めて冷静になったとき、
きっとおまえは後悔するぞ?
もっとよく考えてたらよかったって、
絶対後悔するぞ?」


そんなことない、後悔なんて絶対にしない・・・

俺は彩菜が好きやから!


柊哉の頭の中に彩菜の顔が浮かんだ。

「!?」

すると突然、不安な気持ちが柊哉を襲う。


俺は彩菜を幸せにできるんやろうか・・・?
ホンマに幸せにできるんやろか・・・?


『彩菜を幸せにする』

不安な気持ちはだんだんと大きくなって、
その言葉が少しずつ歪めていく。


「柊哉、冷静になってもう一回ちゃんと考えろ。
おまえは・・・」


「俺は冷静や!」


柊哉はそう言ってリビングを飛び出し、
自分の部屋へと階段を掛け上って行った。