"腐"のつく彼氏

中学3年のお盆の頃。受験勉強の息抜きにと友達と一緒に盆躍りに来ていた私。
気のきく友達の気遣いで、私は好きな男の子と二人っきりになれた。
生まれて初めて好きになった人……
緊張しながらも、会話は少し弾んでいる。

ーチャンスは今だよ!ー

別れる前の友達の言葉に勇気を振り絞る。
「あの、浅羽くん…」
「ん? 」
「す、好きです!私と付き合ってくださいっ!! 」
「…え? 」
目を見開きキョトン、とした様子の浅羽くん…
え、あ、ど、どうしよう!?
良い返事が貰えるとは思っていなかったけど、こんな風に固まられるとは思っていなかったよ!
どうしよう…

「あ、えーと、神崎あのさ、」
「は、はいっ! 」
「俺…腐男子なんだけどいい? 」
「……? 」
腐男子?なにそれ?
よくわかんないけど、私が大丈夫だって言えば付き合えるかもしれないんだよね!?
「…だ、大丈夫だよ!! 」
私がそう言えばパァァと顔を輝かせる浅羽くん。
結構可愛いかも…
「良かった~俺、引かれるんじゃないかと思ったわぁ。」
「そんなことで引くわけないじゃん。」

…本当はよくわかんないけど、ま、いいや

だなんて思っていた私に叱ってやりたい。
"腐男子はそんな生易しいものじゃないんだよ"と…