「おはよう、理佳ちゃん。

 今日の調子はどう?
 昨日、爆発しちゃったね」


爆発……。


そんな表現の仕方をしてくれたけど、
かおりさん……多分、私の勝手な醜い嫉妬だよ。


爆発って言う感じではないよ。



心の中で思いながら、
じーっとベッドの向こう側を見つめた。




「理佳ちゃん……此処が痛かった?」




かおりさんは、
そう言いながら自分の胸に手を添える。




……うん……痛かった。






発作から来る体の痛みよりも、
人を傷つけたかもしれない、私の心が痛かった……。





そんな思いも込めて、
私は黙ったまま静かに頷いた。




その朝も何時もと
同じ風景が繰り広げられる。





朝、宗成先生と薫子先生の
二人が揃って病室に顔を出す。





託実君のテーブルの上には、病院の食器じゃない食器が
用意されて、朝ご飯も……その新しい食器の上に、
薫子先生によって盛り付けられていく。




あんなにも反抗して、ご飯を食べようとしなかった託実くんが
今は何事もなかったかのように、笑いながら食事をすすめてる。



そんな託実くんの笑顔を見ながら、
薫子先生も水筒の中に入れて持ち込んだ何かを飲んでた。





やっぱり……そう言う、
いかにも『家族』とか『親子』って言う関係を見せつけられると
やっぱり空しくなるんだ……。





私が失ってしまったものを持ってる存在。





そんな存在を見ると、妬ましく思う汚い私。
やっぱり嫌いだよ。