*




託実へ




この楽譜が貴方に届いた時、
私はもう託実の傍に居ることが
出来なくなってると思います。


託実、今まで有難う。


託実と過ごした時間は、
私にとっては、
夜明けのひと時のようで凄く優しい時間でした。



そんな託実との時間を
この夜想曲に織り込んで……。





君に奏でる夜想曲







世界でたった一人。
私が恋をした最愛の貴方へ





理佳





*






そんなメッセージと共に……。






そんな楽譜を抱きしめながら、
俺は斎場の窓から、外の緑を眺めて、視線を青空へと広げた。









理佳……、
もうお前は自由か?





この広い世界を何処までも
好きなように駆け巡ってるか?









アイツが旅立ったその日……
それは、俺にとって、苦しみの始まり以外の何者でもなかったけど
それでも……ただ空だけは、アイツの笑顔を届けるように真っ青に広がっていた。