「理佳、いっつもいっつもゴメンゴメンって。
本当にゴメンって、思ってるんだったら
もう少ししぶとく生き続けなさいよ。
私たちライバルなんだからね。
理佳が居なくなったら、私張り合いなくなっちゃうでしょ」
堂崎さんはそんなことを言いながら、
私が眠るベッドを、ポカポカと叩いた。
再び目を閉じて引きずり込まれる時間。
その場所では、大好きな小さなモモが
私にずっと笑いかけてくれてた。
そんなモモを抱きしめたくて、
ゆっくりと手を伸ばすと……
誰かが私の手を掴んでくれたみたいで、
その温もりに引き寄せられるように目を開けた。
耳に響いているのは、
頭の中だけで必死になり響いていた
私が作ってきた曲たち。
「理佳ちゃん、目が覚めた?」
そう言って私に声をかけてくれたのは、
もう一度会えた裕先生。
ぐるりと視線を映すと、
託実や、お父さん・お母さんたちの姿も確認できる。
そして裕先生の隣には、
私にいろんなことを教えてくれた宝珠さん……。
「ごきげんよう、理佳さん」
そう言って、私ににっこりと微笑む。
「理佳ちゃんに借りたファイルの楽譜を元に、
宝珠やDTVTのメンバーに手伝って貰いながら曲を仕上げたんだ。
理佳ちゃんに聴いて欲しくて……」
「理佳さん、なかなか素敵な曲に仕上がってましてよ。
もう少し編曲は必要ですけど、早く元気になって私たちの楽団にいらっしゃい」
宝珠さんは相変わらず手厳しいけど、
凄く凄く優しかった。



