夜想曲~ノクターン~




そう綴ったタイトルには、
明け方の意味が込められてる。




ショパンの夜想曲は、当時社交界に足を踏み入れていたショパンの気持ちが綴られてる。

夜通し飲んで、騒いで恋を語り合って、
楽しい時間を過ごして会場を後にすると、
空が白々と明けかかってる。

『あぁ、今日の夜も楽しかった。
 でも、夜が明けると空しいものだ……』


そんな風に夜を想う詩【うた】。


それが夜想曲~ノクターン~。



私にとっての今までは、
病気を発症してから、夜でしかなかった。

長い長い夜の時間でしかなかったけど、
託実と出逢って、その存在が少しずつ変わった。





夜を想えるようになったのは、
託実が傍に居てくれたから……。







だけど、そんな私の時間ももうすぐ……夜明けを告げる。






そんな私の寂しさと、託実への想いを
この五線譜の中に書き込むこと。





託すこと……。





それだけが今の私の最優先にやるべきことになってた。






そんな五線譜が完成した翌日から、
また私の体調は悪化していく。