俺も会話を交わすことなく、 ベッドサイドにとめられた車椅子から立ち上がると、 無事の右足を器用に使ってベッドへと移動するとゴロリと寝転んで そのまま掛布団に隠れるように潜り込んだ。 「託実、何かあれば連絡を。 父さん、今日は病院の方にずっと居るから」 親父はそう言うと、ベッド周囲を覆うカーテンをかけて 俺の傍から足音が遠のいた。 布団越しに、親父が目の前の理佳って奴にもなんか声をかけて 病室を出ていくのが感じた。