「理佳……」
真っ暗な病室に、託実の声だけが聴こえる。
重たい瞼を開きながら、乱れる呼吸を抑えることも出来なくて
目だけで、託実を捉える。
「バカ……何、無理してんだよ」
「……ごめん……」
声にならない声で小さく告げると、
今度は「何、謝ってんだよ」って託実は言葉を続ける。
そのまま、託実はベッドに横たわる私を布団越しに抱きしめた。
「とっとと熱下げろ。いいな、理佳」
そう言われた託実の言葉に、
目を閉じて合図をすると、私はまた眠りの中に引き戻されていった。
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