それはとても、 華やかで輝きに溢れた音色だった。 楽しいレッスンはやがて終わって、 今日も病室へと戻る時間。 充実した時間の後の、シーンと静まり帰った空間は 精神的反動があまりにも大きい。 世界の中から取り残されたような感覚を感じながら、 私は冴香先生からデーターで届いたその音色を何度も何度もリピートして聞き続けた。 孤独や寂しさ、闇から逃げ出すように。 夢と想いは、相対する存在で 今も……私は暗闇を彷徨いつづけていた。