九月。

託実くんが退院して、
託実くんは二学期と言う学校生活が始まった。


託実くんが退院直後に倒れた私は、
集中治療室の住人を経て、ようやく病室に戻ることが出来た。


自分の病室に戻れたのは凄く嬉しいけど、
だけど戻ってきた病室に、ベッドは一床。


託実くんが入院してくる前の、
景色へと病室は変わった。



看護師さんや、宗成先生たちが顔を出してくれるまで
人の感覚がない独りぼっちの空間。


そんな時間に戻ってしまうと思うと、
凄く怖くて、一人になることに不安になった。



賑やかな時間を取り戻してしまった私だから、
あの頃の様に全てをもう一度、
手放して諦めるのはやりたくないよ……。


そんな不安を抱いたまま、体調の良い日と、悪い日を
一進一退繰り返し続ける。



託実くんが姿を見せるのは、
放課後と呼ばれる17時頃。


16時から1時間、退院後もリハビリが入っている託実くんは
リハビリを終えて、今も病室に顔を出してくれた。


そして今の私が、あの頃と違うのは
お見舞いに来てくれる人が居ると言うこと。



相変わらず、家族は眠った時にばかり来ているみたいだけど
それでも、最近はお見舞いに来てくれる有難さみたいなものが
少しずつわかってきたような気がした。