「理佳ちゃん、今託実退院したよ」




そう言って宗成先生が顔を覗かせる。



そんな先生の顔を見た後、一気に力が抜けてしまったかのように
私は意識を手放した。





次に目が覚めた時は、
また集中治療室らしい部屋。


かおりさんが慌ただしく私を覗き込んで、
名前を紡ぐと、すぐに宗成先生を呼びに行った。



不整脈から意識を失って一瞬、心停止を行ってしまったものの
何とか蘇生が間に合って、こうやって命を繋げて貰ってる現状を知った。


「理佳ちゃん、良かった……助かって。
 心配したよ、先生の顔を見た途端に倒れるから。

 でももう大丈夫だよ。

 今はもう少し眠りなさい。
 もう少し回復したら、いつもの様に自分のベッドに戻っていいから」



そんな先生の言葉を子守唄がわりに、
私はもう一度、眠りの中へと誘われていった。




次に目が覚めた時、私の傍にはガウンを着た
両親が顔を並べていた。




「理佳」

「理佳ちゃん、大丈夫?
 無理しないのよ」



そう言いながら、
私の名を何度も呼び続ける。



名前を呼ぶことと、気遣う以外は何もしようとしない
両親との5分の面会時間の後、暫くしてガウンを纏った託実くんが姿を見せた。