理佳ちゃん


早速、公開有難う。

まだ聴けてないんだけど、
カノンと愛の挨拶だね。

時間見つけて録音しておくよ。


託実と仲良くね














まただ……。


裕先生まで、
託実くんと仲良くって書かれてる。




思わずまだ託実くんの
帰らないベッドに視線を向ける。




「もしかして、理佳さんも託実のこと満更じゃないのかな?
 
 だったら、俺も凄く嬉しいし……
 さっき話したバンド構想に、託実を引っ張りたいんだよね。

 理佳さんが手伝ってくれたら、
 アイツの勧誘もしやすい気がするんだけど」


そう言って、宮向井君は笑った。

そのまま、彼は鞄の中から飲み物を取り出して
私の方に「差し入れ」っと差し出して、
ペットボトルのキャップを開けると、
スポーツドリンクを飲み始めた。


「隆雪」

「あっ、悪い。
 すいません、グラン。

 知ってたはずなのに、水分制限あるってTVで言ってたよね。
 今もあるの?」



裕真さんに窘められて、宮向井君は謝罪の後問いかける。



「今はあの当時よりも、もう少し水分制限増えてる。
 飲み物有難う。

 先生と相談して、何回かに分けて飲ませて貰うね」




前、堂崎さんたちに言われた時はあんなにもイライラしたのに、
宮向井君にされた今は、こんなにも落ち着いて受け止めることが出来てる。



「あっ、隆雪。
 
 何やってんだよ、裕真兄さんがいながら
 理佳の前で、水分飲むなって。

 人が飲んでたら飲みたくなるだろ。

 ただでさえ、室内とはいえ夏なんだよ」



そんな第一声で病室に戻ってきた託実は、
宮向井君の手から、スルリとペットボトルを奪い取ると
キャップをしめて、即座に彼の鞄に突っ込んだ。


そんな託実くんの背後には、
さっき私にきつい言葉を投げかけた女の子が立ってた。


「理佳、自己紹介。

 コイツは、俺の学校の陸上部のマネージャーしてた
 堂崎美加。

 美加、こっちが俺が好きな理佳さん」




えっ?


託実くん……今、なんて言った?


私の耳に間違いがなければ、
『好きな』って3文字を聞いた気がする。


それと同時に、
宮向井君からと裕真さんからの視線を感じる。