視聴覚室

 呼ばれてビクンと肩が震えた。

 自分から頼んでおいてこれじゃあ、幽霊の相手が出来るか不安なものだ。

 みんなからの好奇のまなざしを全身で受けながら、私は立ちあがって軽く咳払いをする。


「すみません。すぐ終わりますので、お時間お借りします」


 こういう時、一体どこに目をやったらいいんだろう。


 軽く全体を眺めたあと、高志先輩が心配そうにじっと見つめていることに気がついた。どく、と胸が鳴った。


「ええと……昨日、江口先生からもあったと思うんですが、先日視聴覚室に入ったのは篠崎さんだけではないんです。私も、一緒に入りました」


 大きな動揺はなかったものの、ひそひそとあちらこちらで声が飛び交った。

 ここまで言ってしまえば、もう怖いものなどない。


「あの時、そして入った日の夜に何があったか、話を聞いて欲しいんです」


 私はゆっくりと、漏れのないよう話し始めた。

 カーテンレールの髪の毛や、置き去りにされた携帯電話に誰かが出たこと。

 そして、窓ガラスに張り付いた真っ白な手のひら。

 昨夜、洋子が何を見たのか。それもちゃんと忘れずに伝えた。


「部長たちも言っていましたが、この学校は今までそんな話とは無縁だったと聞いています。それが、最近になって起こり始めた。原因は、やっぱり視聴覚室を開けたからだと、私も思います」