視聴覚室

 有名な映画音楽の旋律を奏で出すクラリネットたち。

 扉越しに耳を傾けながら、私はこれから後のことを考える。


 決めたんだ。私が何とかするって。これはある意味、私の意地でもある。

 やり遂げなければ今年の定期演奏会は台無しになってしまうかもしれない。

 人数が足りなくて、練習不足も続いて、中途半端なステージになってしまうかもしれない。

 それだけはどうしても避けたかった。


 私にとっては人生初めての定期演奏会であり、三年生にとっては最後の大舞台、卒業セレモニーなのだから。


 パーカッションメンバーは全員で八人。

 そのうち二人が三年生。うち一人が高志先輩。

 部員全体のムードメーカーでもある高志先輩が居なくなることは、やっぱり寂しいけれど。

 そういう表立った理由だけじゃない。高志先輩が居なくなることが辛いのは、私が新入生勧誘演奏を四月の初めに体育館前で見た時から、高志先輩の演奏姿に心底惚れ込んでしまったからだ。


 私もあんな風に演奏したい。あの人と、一緒に演奏がしたいって……


 そう。あと、一ヶ月も一緒に居られない。一緒に演奏出来るのも、これが最後だから。