視聴覚室

 再び学校に戻ってきた時には、音楽室ではすでに個人練習を終え全体練習を始めていた。

 今演奏しているのは第二部の曲。

 第一部は夏のコンクールで演奏した曲だから、焦って何度も合わせなくてもいい。

 第三部はある意味「卒業する三年生たちのスタンドプレー」のようなものだから、楽器も気持ちもほぐれてきた午後から始めるのだろう。


 演奏が止まり、江口先生の指導の声が聞こえてきた辺りで音楽室の扉を開くと、一斉に部員みんながこちらを振り返る。

 何人かが心配そうな顔つきになったのは、昨日早退したせいかもしれない。


「おぉ、安原。大丈夫か?」

「はい。遅刻してすみませんでした」と私は先生とみんなに数回頭を下げた。そうして、先生に近寄って素早く耳打ちする。


 話を聞いた先生はほんの少し首を傾げたけれど、頷いて了承してくれた。


「じゃあ次、クラリネット。今言ったことを頭に置いて、さっきと同じところをもう一度」


 先生が指揮者台をコンコンと軽く叩いたので、私は急いで部室へと引っ込んだ。


 今練習しているのは映画メドレー。

 邦画ものが大半を占めるけれど、日本のアニメ映画もやりたいと過半数の生徒が望んだものだから、先生と三年生があれこれ話し合って構成を立てていた。

 その時、先生が例の視聴覚室から拝借した資料を手にしていたことに、私は気が付いていた。