以前、手のひらが張りついていた場所に、今度は黒髪の頭頂部が窓枠から覗いていたという。
しかも、それはゆっくり、ゆっくり上へ上がってきて……
「額が見えた時、ああ、もうこれは逃げなきゃって思ったんだけど、足が震えて動かなくって……それで、眉毛が見えて、その次に両目が……」
そこまで言って洋子がまた泣き出した。怖かったと震えて泣き続けた。
後のことは覚えてないらしい。とにかく逃げなきゃという一心で走りに走ったという。
「わかった。怖かったのに、思い出させてごめんね。ありがとう。私、これから学校行って調べてくる。洋子は今日は一日ゆっくり休んで――」
「待って! ダメだよ、理香!」
袖を掴んで洋子は必死に私を引き留めようとしてくれた。
それが不謹慎ながら嬉しく思った。
「大丈夫だよ、洋子。私、本音で言うと何か段々ムカついてきたんだ。何で私たちが怖い目にあわなきゃいけないんだって。
今、私たちが毎日がんばって生きてるのに、何で死んだ人間が関わってくるのかって。
だから、生きてる人間の強さ、思い知らせてやらなきゃ。でしょ?」
「……理香、強いね。怖くないの?」
握り合った手と手。震えているのは洋子なのか、それとも私なのか。
しかも、それはゆっくり、ゆっくり上へ上がってきて……
「額が見えた時、ああ、もうこれは逃げなきゃって思ったんだけど、足が震えて動かなくって……それで、眉毛が見えて、その次に両目が……」
そこまで言って洋子がまた泣き出した。怖かったと震えて泣き続けた。
後のことは覚えてないらしい。とにかく逃げなきゃという一心で走りに走ったという。
「わかった。怖かったのに、思い出させてごめんね。ありがとう。私、これから学校行って調べてくる。洋子は今日は一日ゆっくり休んで――」
「待って! ダメだよ、理香!」
袖を掴んで洋子は必死に私を引き留めようとしてくれた。
それが不謹慎ながら嬉しく思った。
「大丈夫だよ、洋子。私、本音で言うと何か段々ムカついてきたんだ。何で私たちが怖い目にあわなきゃいけないんだって。
今、私たちが毎日がんばって生きてるのに、何で死んだ人間が関わってくるのかって。
だから、生きてる人間の強さ、思い知らせてやらなきゃ。でしょ?」
「……理香、強いね。怖くないの?」
握り合った手と手。震えているのは洋子なのか、それとも私なのか。
