視聴覚室

 怖さよりも、何故だか私は沸々と怒りが込み上がってきた。

 何だって、生きている私たちを怖がらせるのか。

 教室を開けることが、私たちが入ったことがそんなにいけないことだったのか。

 通っている学校のことだもの、普通のことじゃないか。

 何で死んだのかはわからないが、死んだら死んだでさっさと成仏してくれたっていいのに。

 しかも、定期演奏会まで残り少ないこんな時に現れなくても――!


 もやもやしていたものが、すっと吹っ切れた。


「……洋子。私に任せて。私、あの視聴覚室を調べてみるから」

「……え?」


 涙をぼろぼろと流しながら、洋子はあり得ないといった顔つきになった。


「な、に言ってるの? ダメだよ理香! そんなことしたら、理香が危ないよ!」

「だからって、このまま放っておくなんて出来ない。洋子の言ったとおり、洋子の身に何かあっても嫌だもん。

部長の言う通り、今までいわくつきじゃなかった教室が、私たちが開けてから色々始まったんでしょ? 責任、取らなきゃ」


 あの幽霊が現れたのには、何か原因があるはずなのだ。理由があるはずなのだ。

 私は洋子の両頬をそっと包んだ。涙が両手を濡らしていく。