視聴覚室

 あれから大した食事も睡眠もとることが出来ないまま夜が明けた。

 あの時の光景を思い出したくなくて、それでも私の脳みそはご丁寧に何度も記憶を呼び起こすものだから、私は自室で布団にくるまり、ベッドの上から動けなかった。


 窓の外を見れば、まだほんのり薄明るい程度。枕元の時計は五時半を指していた。

 ぼんやりとする頭を振っていると、視界の端でチカチカと光る何かをとらえた。

 携帯電話だ。着信があったことを告げている。


 そういえば、昨日部活中にマナーモードに切り替えてそのままにしてあったんだ。

 電話が鳴っていたなんて全く気がつかなかった。


 ベッドから滑り降りると、鞄から転がり落ちていた携帯を拾い上げる。

 携帯を開くと「着信アリ 2件」となっていた。


 洋子からだった。

 時刻は昨夜の午後八時三分と、四分。


 時間帯からして、部活が終わってから電話をかけてきたようだ。

 そういえば、昨日私が早退する時洋子は居なかったんだ。彼氏と外でランチしに行っていたから。

 先に帰った私を心配して連絡をくれたのかもしれない。でも……


 それなら、メールで済ましてもいいような用件だ。

 かけ直しの間隔を見る辺り、よっぽど急用だったのではと妙に心がざわついた。


 なんだろう。なにかあったのかな……