私にとっては高校初めてのコンクール、三年の先輩方にとっては最後のコンクール。

 せめて関西地区までは進みたかったけれど、結果は県大会にてダメ金止まりだった。

 悔しくて、悲しくて、みんなでわんわん泣いた。



「さぁ、気持ちを切り替えていこう! 定期演奏会まであと一ヶ月もないんだからな!」


 先生が指揮者台の上から声を張り上げる。

 みんなが一斉にはいと返事を返した。



 コンクールでは出られなかった一年も参加するため、音楽室どころか技能校舎は一層賑やかになった。

 練習場所を求めて、空いている教室を見つけてはそこで練習をする。

 パーカッションである私は、もっぱら音楽室から出られないのだけれど。




 定期演奏会まであと二週間を切った、ある昼食時。

 技能校舎と三年校舎の間に設置された憩いの場で、同じ一年メンバーで集ってお弁当を広げていた。

 会話の内容は定期演奏会のこと。

 あそこの旋律が難しい、あの振り付けは演奏しながらだとキツイよね、でも初めての定期演奏会は楽しみだよねと盛り上がっている時だった。


「……こんな時に、変なこというのもアレなんだけど……」


 サクソフォーンのメグミが、申し訳なさそうに口を開いた。