視聴覚室

 ガラリと開かれた扉。

 昼間よりも一層冷たく感じる空気が流れ出る。

 どこか異質さを覚える。



 その時、パッと室内が明るくなった。

 何の掛け声もなく電気をつけられると、それはそれで驚きだった。


「わっ! びっくりさせないでくださいよ先生ー」と洋子が口を尖らせて文句を言う。


「この教室って、電気のスイッチどこにあるんですか?」


 私の問いに、谷先生は無言で黒板の下を顎でしゃくった。なるほど、あんなところにあってはわからなくて当然だ。


「ほら、さっさと探せ」

「……何も、居ませんか?」


 未だ室内に入れていない私たちを見て、谷先生は大げさにため息をひとつ。


「ワシはこの学校に三十年以上おるが、おまえらの言う妖怪なんぞ見たこともないわ」

「先生、妖怪じゃなくて幽霊です」

「どっちでもええわい。さっさとせんか」


 谷先生は入り口に陣取り、私たちの様子を見守る姿勢に決め込んだ。

 一秒でも早くここから離れたい私は、さっきポケットに押し込んだ携帯を取り出し、一呼吸置いてもう一度洋子へ電話をかける。