視聴覚室


 予想外にも、コール音が止まった。

 つられて洋子の携帯メロディも鳴り止む。




「あれ? 洋子の携帯って、鳴らしっぱなしだと留守電に繋がる?」言いつつ私が受話口に耳を当てると、




『……ザッ……ザザ……』

「ひっ!?」


 思わず携帯を放り投げた。

 それを見た洋子が、驚いたようにこちらを見て動作を止める。



「……な、なになに? 理香、どうしたの?」

「今……携帯から何か、ノイズみたいなのが……」


 開かれたまま転がっている私の携帯画面は、未だ『通話中』という文字が表示されている。




 視聴覚室の中に置き去りにされた洋子の携帯。


 鍵は昼間かけたっきり。


 高志先輩の言葉が正しいなら、あの後他の誰かが入ったことは疑わしい。


 江口先生は戻ってきていないから、鍵はかかったままだ。





 こんな時間に、こんな真っ暗な中、誰がここにいるというの?



 誰が、電話に出ているの……?