視聴覚室

 結局、私たちは視聴覚室前まで行かなくてはならなかった。

 廊下の突き当りには昼間使った北階段があり、その脇にトイレが設置されているからだ。

 つまり、視聴覚室の斜め前にトイレがある、ということになる。



「うぅ……夜のトイレって超怖いんだけど」

「私だって、視聴覚室の前で待つなんて超怖いんですけどっ」


 じろりと洋子を睨むと、だって血が流れてきたら大変じゃんと申し訳なさそうに笑った。


「二年校舎側の廊下に立ってなよ。その方が先生も気づきやすいよ。てゆーか、ちょっとでもトイレ側に居てくれると心強いんだけど……」

「はいはい。さっさと行っトイレ!」


 私のおやじギャグにあははと笑いながら、洋子はトイレの入り口をくぐって個室へと入っていった。

 トイレの入り口はウェスタン扉となっていて、上部と下部に空間がある。ちょうど西部劇の酒場にあるような扉だ。

 中が丸見えなため、女生徒たちからは不満が上がっていた。



 静まり返った辺りに、ごそごそと洋子が動いている音だけが響く。


 確かに、技能校舎側の廊下よりはマシかもしれない。

 まっすぐ東に伸びる廊下の途中で、ひときわ明るい場所――職員室――が見えるからだ。

 結構遠いけれど、人がいるという安心感が湧いてくる。