視聴覚室

「どの辺りにあるかわかるのか?」

「あ、大丈夫です。私が電話鳴らしてみるので、すぐ見つかると思います」


 言いながら、右手に握った携帯を二人に見せた。

 はぁ、と呆れたように吐息をもらしたのは先生の方。

 最近の子はそういうとこしっかりしてるよな、とか思ったのかな?



「なんだ安原、その人形は。携帯より大きいじゃないか。邪魔くさそうだな」

「え? そっち?」


 洋子に笑われて、先生、これは今流行りのジャスミンくん人形ですよと反論する私を尻目に、先生はズボンのポケットをまさぐり出した。



「……あ、しまった」

「どうしたんですか?」


 慌てたように足を止めて、先生は胸ポケットや尻ポケットもパンパンと叩き出す。

 私と洋子もつられて足を止めた。



「視聴覚室の鍵、職員室に置いてきたようだ。取ってくるから待っててくれないか」

「えぇー! 私たちも一緒に行きますよぉ!」


 電気が付けられたからといっても、夜の校舎ほど怖いものはない。

 その上あの視聴覚室の前で待つなんてとんでもなかった。