視聴覚室

「そうは言っても、友達の恋路は応援したいもんね」


 高志先輩の手厚い忠告を胸にとどめて、江口先生と洋子と共に再び視聴覚室へと向かう道すがら。

 私は一人小さくぼやく。


 先輩は心霊現象はないって言ってたんだし。うん、大丈夫。


 校舎の両側にある階段の、今度は南側を上って二階へ辿り着く。

 北に向かって進めば、二年校舎との境目となる。

 そこに、例の視聴覚室があるわけで。



 右側に窓、左側に教室が並ぶ廊下は、窓からの月明かりがこぼれていた。

 この辺りは暗くないのだ。

 問題は突き当りの場所。闇の化身がそっくり返ってるのだろう、真っ暗闇になっている。



 江口先生が階段脇にあった電気のスイッチを入れると、廊下は一気に明るくなった。

 どきりとしてしまうのは、窓が鏡のようにこちら側をくっきりと映し出すこと。

 何故だか妙にそわそわしてしまう。



「全く、自分の持ち物くらいちゃんと管理しておけよ」

「はぁい」


 昼間の手伝いが功を奏したのか、先生はぶつぶつ言いながらもついてきてくれた。

 洋子はすっかり元気を取り戻している。