視聴覚室

「で、でもですね、江口先生が言ってましたよ? 資料整理の時は人が出入りするって……」

「六年前まではそうだったけどな。最近は先生すら出入りしていないんじゃないか?」

「六年前……?」


 その数字に、頭の隅からある記憶が引っ張り出される。

 うちの高校の吹奏楽部が全国大会に行った年だ。


「そ。まぁ俺の耳にも心霊現象の類はないにしろ、生徒は入ったらいけないって聞いてるし。江口先生も新任だから知らなくてもしょうがないけど……って、一体何しに行くつもりだったんだ?」

「あ、いや……そのぅ……」


 たった今、入ってはいけないと言われたばかりなのに、昼間入りましたと言えば怒られそうで。

 私はごにょごにょとごまかした。



「何でもいいけど、安原たちは入るなよ。用事があるんだったら、江口先生に任せておけばいい」


 釘を刺されて、私は高志先輩に見送られた。

 心に鉛が入ったかのよう。ずっしりと気分が重くなる。