視聴覚室

 洋子が手探りをしつつ壁を触りまわる。

 目をこらして顔をあちこち動かすが、スイッチらしきものが見当たらない。


「おかしいなー。大体どの教室もこの辺りにあるのに」

「視聴覚室だから、ちょっと特殊なのかもしれないね。洋子、たぶんカーテン開けた方が早いよ。外明るいし」

「うん。じゃあ私、西側開けるね」

「私は廊下側を開けていくよ」


 普段使っている教室より半分ほど広いためか、洋子と離れた直後に言い知れぬ不安が頭をよぎった。


「さっき、この辺りのカーテンが動いたように見えたんだよね……」


 入口のすぐ横。窓にかかった分厚いカーテン。

 窓枠より三十センチほど裾が長い。

 そっと触れると、ざらりとした手触りを感じた。どことなく、古めかしい。


 ぎゅっとカーテンの端を握ると、私は思い切りひいた。はずだった。


「あれ……?」


 ぐいぐいと何度も引っ張るが、カーテンは頑なに動くことを拒否していた。何かにひっかかっているようだ。


 カーテンレールを仰ぎ見て、しばらくじっと目を凝らす。

 なんだろう。何にひっかかっているんだろう。