腕を組んで怒る私と、怯えたような眼でこちらを見る彼。
本来ならば、逆である。




「あたしがキスしてよって言ってるのに、何でいつまでもしてくれないの?!アキ!」





キスしてほしいのに、いつまでたってもキスしてくれない。

普通の健全な高校生男子ならば、キスの1つや2つ簡単にしてくれるはずなのに、アキは付き合って1年ちょっと経つのにしてくれない。


そもそも、こんなに性格が合わないのに、なんであたしは彼と付き合っているか。



『そんなの、あたしの下僕だから!』


………なんて言わない。


だって、好きだったんだもの。
ずっと、ニコニコしてあたしに近寄ってくる彼が。



あたしに魅力がないのか、本当にあたしのことが好きなのか。
そんなことだって考えた。

けど、あたしはこんな性格だから、真っ直ぐにこんな質問を彼に問うことなんてできない。