「誰でもよかったんだろ?」


ヤマトは続ける。


「あの後…俺が引っ越した後、みんないなくなって、お前はひとりぼっちになった。」


そうだよな?と、念を押すように、私の目をまっすぐに捉えてくるから…


「……。」


促されるようにして、私は無言で頷いた。

間違いじゃない。

何人かの“友達”は、まだ夜の街に残ってたけど…

ヤマトをはじめ、仲良くしていた仲間は揃って来なくなってしまったんだ。


だから、私は一緒にいてくれる“誰か”を探してた。


「俺のほうがずっと、お前のことをわかってる」

「え…?」

「俺でいいじゃん」



…は?

何?今の…
それって、どういう…


考える間もなく、


「ちょっ…」


いきなり、ぐいっと。
引き寄せられて。


「ヤマト…?」


気づいたときには、なぜかヤマトの腕の中にいた。

……何コレ?なんで?


パニックになる私をよそに、ヤマトは抱きしめる腕の力を強めた。


そして…


「ずっと好きだった」


耳元で囁かれた言葉。

驚いて、思わず顔を上げれば…


「あんなヤツ辞めて、俺にしとけよ」


切な気なヤマトの顔が近づいてきて…




唇が、重なった。