「美味しいねっ」
お店の近くのベンチに座って、さっそくアイスを頬張る私。
隣を見れば、龍ちゃんも美味しそうに食べてる。
ふふっ。
龍ちゃんってば、こう見えてバリバリの“甘党”なんだよね。
コーヒーもブラックじゃ飲めないし…
赤城さんをはじめ、みんなの目には“クール”で“大人”に映ってるみたいだけど…
“お子ちゃま”なところも多々あるのだよ。
“妻”の私しか知らない、一面ってやつが…
「……何にやにやしてんの?」
へっ?あ…
「ちゃんと集中して食わないと、またこぼすぞ。」
まるで小さな子供を諭すように、真面目な顔でさらりと失礼なことを言う龍ちゃん。
「なっ…ひどいっ。また子供扱いして…って、うわっ。」
反論しようとしたのに…
意気込んだ挙げ句、危うくアイスを落としそうになってしまった。
あー…。危なかった。
「ほら見ろ。言わんこっちゃない」
呆れたように私を見下ろす瞳。
うーっ。悔しい。
龍ちゃんから視線をそらして、アイスにかぶりついた…とき。
「あ…、ナオ、ちょっと」
龍ちゃんの手が伸びて、くいっと、顎を持ち上げられた。
そして、近づいてくる顔。
「動くなよ?」

