あれから――

塾のほうでは特に何事もなく、私も龍ちゃんも今まで通りの生活を送っている。

相変わらず、私たちの関係を知っているのは佐々木さんだけ。


ヤマトも、あれ以来、私の“彼氏”について触れることはないし。

“講師”としても頑張ってるしね。


でも…

龍ちゃんの話題が出る度に、私は話したくてうずうずしちゃうんだよねぇ。

龍ちゃんの働きっぷりを見て、ヤマトが褒めちぎるもんだから…余計。

すっごい自慢したいし、早く紹介したい。




……あと少し。


本物の塾長が戻ってきて、龍ちゃんが無事に本社に戻ったら…

そのときは、また改めて。

私の“旦那さま”として紹介するんだ!







「あっ!龍ちゃん、私、あれ食べたいっ」



嫌がる龍ちゃんを制して、腕を組んでぴったりくっついて歩きながら。

私が見つけたのは、有名なアイスクリームのお店。


「行こう?食べよう?」

「はっ?お前まだ食うの?さっき食べたばっかりじゃ…「いいから!」


そのまま、龍ちゃんを引きずるようにして、

私はアイスに突き進んだ。