「ねぇーねぇー!桜ちゃん?
質問してもいいー?」

「…」

ほらみろ!
桜さんが話すわけないだろ!

俺は桜さんに会ってからまだ
桜さんが話してるところを見たことがない。

「んーとね、
桜ちゃんって相太の婚約者なの?」

真司がそう問いかけた瞬間、
桜さんは目を見開いて驚いた。

「なんで…知っているの…」

はじめて聞いた桜さんの声。
凛とした鈴のような声。

「相太に聞いたんだょ」

「…」

桜さんは無言で教室をでていった。