「そういえばさ・・・


中学生の頃、お母さんにこうして切ってもらったんだよね。」


マミは語り出す


マミがせっかく大事に伸ばしてた髪・・・

お母さんったら

「新しいことに向かうときは

こうやって、リセットしなきゃね。って

平気! 平気!

すぐ伸びちゃうから・・・

マミちゃん。受験がんばってな。」


お母さんなりの応援だったのかな~。


その頃は「なんでよー。」って半泣きだったんだ。

でも・・・そのあと

なんでかスッキリして

結局、合格したんだけどね。



「いいお母さんだね。」

僕はマミの中学時代を描きながら・・・



「ねぇ・・・なんか

ここまで伸ばして

今度はシュウが切ってるからね。

ここまで伸ばしたことないんだよ。

久々だったんだ。こんなの。」

マミは切って落ちる髪を目で追いながら

時折寂しい顔も見せる

でも・・・僕は切り続けた。



「お母さんの代わりに

今度は僕がしっかりついているから。」


「好き」


マミは鏡越しに僕に言った。

たまらなく抱きしめたかったけど・・・

無言で僕はハサミを進めた。

サクサクと・・・・

マミはじっと見つめていた。



「うわ~。」




マミは見違えるように

ベリーショートの

ボーイッシュな女の子に

生まれ変わった。


「これが私?」


マミは驚きが隠せない


「最後に・・・・」

僕は仕入れてきた

ミラクルなスプレーで

マミの髪を仕上げた。