街へ出た

久々に元いた店に呼ばれて・・・

店内はいつも賑やかすぎるほど活気で溢れてる。

楽しそうに客と話すあいつ

元同期のけんじ

「なんだよ・・・相変わらず女好きだな。」

話す内容を聞いてるだけで

思いっきり、ウソの世界で

最高の愛想で客を喜ばせてる

それもアリなんだ。

かと、思えば・・・

客の話を親身になって聞いているヤツも・・・

美容室っていう空間で

毎日繰り広げられる

客と俺たちの時間

恋愛とかまったく意識しなかったのに

美容師も恋に落ちる瞬間も

確実にあるってことを

僕は実感して・・・

だから

この仕事・・・止められないんだ

毎日いろんな出会いあって

いろんな人の

いろんな話

そこを垣間見れる瞬間に

僕はゾクゾクするし

客もまた恋に落ちるだろうか・・・

こんな美容師でも

マミは好きになってくれた

こんな冴えない僕

落ちぶれた美容室にいた

このおっさんを

今は1番好きでいてくれている。

俺の明日と

マミの明日

美容室は

明日も予約でいっぱいだ。

「沢田。」!!

けんじに呼ばれて目を覚ます。

「夢見ごこちか~?」

「まあね・・・」

仲間に久々に髪やってもらって

僕はつい眠ってしまっていた。

「これ。」けんじからもらった、

いや・・・これを取りに来たんだ。

明日・・・マミは大事な日を迎えているから。






「おかえり マミ」