マミは一瞬のことで、ポカンとしていたが、その表情は

皮肉にも嬉しそうだった。

こんな突然、みんなの前でさりげなく抱きしめるカイは

男からみてもカッコいい。

誰もが羨む光景に、マミは興奮しているだろうか・・・

耳元で囁くカイにマミは赤面しているというのか・・・

これ以上、その場にいるのは耐えがたく

僕は、部屋を後にした。



そして・・・・ルミは僕にも接触してきた。

後から知った・・・

ルミが全部打ち明けてくれたけど、

カイはマミの初恋の相手

そして元恋人

そうか・・・

抱き合うことも

親しげに話すことも

いいのか?・・・・

いや・・・いいんだ。




この初々しい若者の恋愛を見ていると

自分には居場所がなくって

僕は、こんなに大勢の中で

完全に一人だった。

走り出していた恋も急ブレーキをかけられたみたいで・・・

マミの気持ちは。

僕は、このままでいいのか・・・




マミが颯爽にランウェイを歩く。

ショーは盛大に盛り上がりを見せている。

最後にマミに魔法をかけたのは

僕ではない。

カイだった。

その悔しさと

僕のちからの無さに

輝くマミを直視できない僕。

こんなはずではなかった今日この日を

僕は忘れない。