嘘と微熱と甘い罠


たしかに、車あったら飲めないけどさ。

だったら歩いて行ける範囲の飲み屋でよくない?

私と相良って。

こんな風に家飲みする仲じゃないよね?

それに…。





疑問は次々と湧いてくる。

しかし。

人間の三大欲求とはよく言ったもので。

睡眠欲を満たした私に次の欲求を拒否できるわけもなく。





「…いいにおいがする」

「味の保証はできねぇけど…ないよりましだろ」





キッチンでガサガサやっていた相良が持ってきたものは。

本人いわく、在り合わせで作ったお酒のおつまみ。

でも。

そのにおいに、さっきまでのモヤモヤした気持ちは吹き飛ばされた。





「まぁ、とりあえずお疲れ」

「いただきまーす」





缶ビール同士のカンパイは。

カシュ、というなんとも気の抜けた音をたてた。