嘘と微熱と甘い罠


斜め前を歩く背中は、笠原さんじゃない。

だけど。

当たり前のように買ったものを持ってくれて。

当たり前のように手を引かれ。

…これじゃ、まるで。

相良が私の彼氏みたいじゃない…。





トクン、トクンと内側に響く心臓の動き。

それに比例するように熱くなる身体。





…ヤバい。

手汗かきそう…。

今は掴まれてるだけだからまだいいけど。

手なんか繋がれて手汗なんてかいてたら。

相良にまたからかわれるじゃん。





そんなことを考えていたら。

フッ、と。

左手が軽くなった。





離してくれた?

その方がいい、大歓迎!!

ちょっと寂しいけど、手汗がバレてからかわれるより…。

…って。

【寂しい】ってなに?

なんで寂しいの?





突然涌いてきたおかしな感情に。

自分で尋問していたら。

左手には、さっきと違う感覚が降ってきた。