嘘と微熱と甘い罠


病院から会社までは歩くと少し距離がある。

運よくタクシーに乗ることができた私は。

車内に流れるラジオの声をBGMに、窓の外を見ていた。





これで笠原さんとのことは終わったって思ってていいのかな…。

まだ何かあるような気もするけど。

いくらなんでも結婚式近いんだし、あれだけ言えばもう何もないよね…。

そう思いたい。

自分でも不思議なくらい冷めてしまった笠原さんへの気持ちは。

何度吐き出したかわからないため息に混ざって私から出ていく。





“公私混同するな”

そう煩いくらい言っていた相良が。

外回り中のついでであれ、なんであれ。

病院まで来てくれたことは素直に嬉しかった。

だけど。

これから、相良との関係がどうなるかはわからない。

私は自分の気持ちを認めたけれど、相良の本心はわからないまま。

「抱きたい」とか「キスしたい」とか。

あれは相良自身の本心、だったのかな…。