嘘と微熱と甘い罠


「…ただの先輩と後輩です」

「え?」

「笠原さんとは、それ以上でもそれ以下でもありません」





似たような言葉を相良にも言った気がする。

でもあの時は自分に向かって必死に言い聞かせてた。

だけど今は違う。

これが本心。

それに…これ以上何かを言葉にしても、私が望む言葉なんて。

笠原さんから出てくるとは思えない。

だからもう。

私はあなたの言葉は聞きません。





「…会社に行かなきゃならないので失礼します」





何も言わない笠原さんはそのままに。

私は軽く頭を下げ、笠原さんから視線を外した。

そして、相良に視線を移した。





「相良も、来てくれてありがと」

「あ、あぁ…」

「私、課長のとこ行くね。外回り中なんでしょ?頑張ってね」

「え…あ、おいっ!!天沢!?」





追いかけてくる相良の声も聞こえないふり。

私は2人に背中を向けた。